何故飛鳥で書くと死ネタばっかりになるんだろう……orz
※Attention
・久々に遣隋使
・死ネタ有です
・生前と死後のクロスオーバー的な
・グダグダしてます
・芋っ子ぉぉぉっ!←
・幸せなのかシリアスなのか微妙
以上の事が大丈夫でしたら追記からどうぞ~。
駄文なのとタイトルセンス皆無なのは知ってますからツッこまないであげてくださいorz
『ずるいよ、そんな言葉を遺して逝くなんて』
澄み渡った空に、風が気持ちのいい日だった。
白い菊の束を持ち上げれば、それがまるでそのまま空の青さを吸い込むような気がして。
……ふと、胸が苦しくなった。
そうだ。青はあの馬鹿でアホでどうしようもないあの太子が、いつも着ていた色。麻服よりもっと上等な、それこそ上に立つべきものの服を、どうしても着たがらなかったあの太子の。
(前にその事を注意したら、壁を作りたくないとかなんとか言ってたっけ。意味がわからなくてあの時は聞き流したけれど、今思えば太子は太子なりに僕との身分差を気遣ってくれていたんだろうか。聞く術はもう無い)
その苦しさを吐き出すようについた息は、ゆっくりと寒空に溶けて消えた。
『妹子、私はね。強い人間になりたいよ』
『強いって肉体的にですか?もう手遅れでしょ太子の歳じゃ。贅肉とか』
『ばっ、いつ誰が肉体的な話をしたんだコラァー!て言うか贅肉ないもん見ろい!』
『わざわざ見せんなアホ明太子!つうか可哀想なくらい肉ないなあんた!』
『あまつさえ明太子とか……なんつー奴だこの芋けんぴ』
『何か』
『……鬼ー、鬼芋ー』
『はぁー…で?太子はどういう方面で強い人間になりたいんですか』
『急に話を戻すんだなお前は……そりゃ勿論、精神的にだよ決まってるだろ』
『精神的、ねぇ。例えばどんな風に?』
『そうだなぁ……竹中さんのような…』
『え?あの人強いの?いやまぁ確かにあの大物的なオーラとか太子のツッコミどころが絞れないボケを華麗に流すスルースキルとか強いなってところは沢山ありますが』
『こう、水に流れるように』
『それ強いんじゃなくて抵抗しないだけでしょ』
『たまに溺れたり』
『駄目でしょそれじゃあ!』
『浮かび上がってみたり』
『……わからない。竹中さんの性格がわからない』
『まぁとにかくそんな感じだな!あと父上みたいな』
『あぁ、天皇……僕は遠目でしか見たことがありませんが、確かに強そうでしたね』
『うん。父上は凄かった。こんなだけど父上のこと、すごく尊敬してるんだぞ』
『天皇になるようなお方ですものね……』
『あぁでも、私はお前も尊敬してる』
『はぁ?あんたねぇ、目上が目下を尊敬するってどんな』
『けど妹子は私にないもんを持ってるだろ?そういうとこ、尊敬する。いけないか?』
『どうせあんた言っても聞かないでしょ。好きにしてください。なんか変な気分ですけど』
『ん、じゃあ私の好きにする。ありがとな』
『……ここ、お礼言うの僕ですよね?』
―――何で突然、こんな事思い出したんだろう。
軽く頭を振って視線を戻す。そこには、相変わらず無機質な墓石が、ひとつ。
ただ、墓石と言ってもここに太子は眠っていない。太子は摂政と言う身分に居るから、普通の人のような葬られ方はされない。立派な墓を生きている間に作ってもらって(本人はこれを「死ねって言ってるみたいだ」と不服そうにしてたけど)、そこの中にいる。
ここは、太子がどうしても来たかった場所。絶対に咲かない桜の木の、ちょうど真下。
何度花見に行っても咲かなかった桜で、次は次はと約束してたけど行けず仕舞いだったこの場所。
ここに眠るのは、強いて言うなら太子の思い出だ。この墓石をどかしたところで出てくるのは青いジャージだとかそこらへんだけど、それはきっと、僕を含めた少数しか知らない、太子の思い出。
ただ、それをどかすような気力は、僕には無い。死んだ太子の顔にかけられてた白い布をどかせなかった僕に、そんな事なんかはなからできるわけないんだけれど。
「……太子…」
呟く声が、白い息に変わる。
空を見上げると、重い灰色が落ち始めていた。
『な、妹子。知ってるか?』
『何ですか藪から棒に。知ってるか知らないかなんて、対象聞かされてないのにわかるわけないでしょ』
『竹中さんが教えてくれたんだけどなー』
『……なんかあんたの知識っていっつも竹中さんから仕入れてきますよね。ほんとあの人(?)何者なんですか』
『竹中さんは竹中さんだよ。馬鹿だなー妹子』
『馬鹿に馬鹿って言われるほど屈辱的な事もないな。殴りますよ』
『な、殴ってから言わないで……』
『で、竹中さんから何を?』
『妹子どうしてそんな切り替え早いの?殴っといて……』
『過去は振り返らない主義なんですよ』
『過去っておま、数分も経ってないぞ!?』
『あぁはいはいごめんなさい。で、何なんですか?』
『流された……まぁいいか。竹中さんはな、色んな人の死を見てきてるんだって』
『……へぇ』
『で、私はね。そんなに色々な人の死を見てきて、哀しくないのかって聞いたんだ。だって竹中さんはいつも笑うとき、寂しそうだったから』
『そういえば、僕もあの人が爆笑してるとことか見たことないなぁ…』
『そしたら、竹中さんはこう応えてくれたんだ。遺されてるからこそ、強く生きれるって』
『何でですか?』
『思い出が生きる力になるとかじゃないんか?流石に私もそんなつっこんで聞けないってば。ずかずか踏み込めないよ、そこばっかりは』
『人の家にはガンガンあがるのに変なとこで気遣いするんですね』
『まぁねー。って言うかそういうのを逐一覚えとくかなこの里芋山芋とろろ芋ー』
『粘着質って言いたいのかこの腐れ明太子がぁぁっ!!』
『ベボラップ!』
『……っはぁ、ほんと疲れる。て言うか、太子は残されてる側が強く生きれるなんて思ってるんですか?』
『よくわかんないけど。…少なくとも私は、それを誰かに言ってあげられるような生き方をしたい。誰か大切な人がいなくなっても、泣きじゃくるばっかじゃなくて、こういう大切な人がいたから今の私があるんだよって、言えるようになりたいんだ』
『……』
ああ。
あんたが憧れたその生き方を、僕もそっくり同じようにできたらよかったのに。
「…たい、し……」
さらさらと音を立てて、灰色の空が泣き出した。
同じように濡れる僕を包むように、ただ、静かに。
白い菊の花が手から零れる。頬を流れるのが雨なのか涙なのか、僕にはわからない。
ただ、太子が残した言葉だけが、いつまでも胸の奥で響いては、熱い何かを内側から溢れさせてくるようだった。
たったひとつ。
(遺される者が強いといった、その言葉が。あんたに置いてかれた、取り残された僕には、痛いだけだなんて)
***
久々の遣隋使が死ネタっておま……。
でもこういうのは書きやすry(殴
太子は確かに人の死を悲しむけど、それをいつまでもくよくよしちゃ駄目だ、と思うんじゃないかなと。摂政って立場もあるけどなにより、死んだ人に心配かけたくないって。
妹子はそこのところ太子より若干弱い、と言うか結構弱いと萌える。吹っ切れるまで時間かかりそう。案外ナイーブなんだよきっと。
て言うか天国書きすぎて何を書いても天国に見える私ってorz
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