某SNSにてリクエストを受けたコラボです。
本来は相手様の美麗なイラスト付きですがこちらでは許可をもらっていないので文章のみを掲載。
許可がもらえたらイラスト(挿し絵)も載せたいと思います。
※Attention
・曽妹
・二人とも病んでます
・むしろ二人ともヤンデレてると言うか。
・とにかく二人して精神疾患的な感じ
・これでも二人は愛し合ってます
・描写的に痛い表現有かも
・主に妹子が痛い目にあってる
・もしかしたらDVとか流血表現もあるかも
以上のことが大丈夫でしたら追記からどうぞ。
ちなみにタイトルの意味は「二人の間のアンビバレンス(アンビバレンス=同一の対象に愛と憎しみのような相反する感情を同時に持つこと)」です。
『愛しい貴方のために死んであげようか?ばか野郎』
『愛しい貴方を殺してやりたいよ。下種野郎』
ここに閉じ込められてから、どのくらい経ったっけか。
朦朧としている意識を懸命に保ちながら妹子は、胸に篭った気持ちが悪いものでも吐き出すように深く、溜息をついた。変わりに入ってくるのは、冷たくて埃に塗れた空気だけ。新鮮な空気でも吸わせろよ馬鹿、と呟きを落としたが、それはすぐに部屋の中に佇むどろりとした暗がりに全て食い尽くされ、跡形もなくなってしまった。
動かさない筋肉がぎしりと嫌な音を立てる。否、動かさないのではなく動かせないのだ。手首を縄で締め上げられて自由を奪われたこの身に、そんな事を要求するのは酷すぎる。
妹子は諦めたように目を閉じて、しかしやはりその軋みが気になるのか、僅かに身を捩って少しでも楽な体勢を探していた。
動くたびに開け放たれたジャージの前が冷たい空気を呼び込む。それは妹子のむき出しの肌を何度もざらりと舐めあげて、体を震わせる。
しかしそんな事など、妹子は気にも留めなかった。むしろその方が、頭に血が上りやすい自分にうってつけだとすら感じているように、微かに唇を持ち上げた。本当に、微かに。
「妹子さん」
それも、ふと聞こえた声ですっかり引っ込んでしまったのだが。
声の主は暗がりさえも切り裂くような深い色の切れ長をうっとりと細めて、妹子の方へ歩み寄ってきた。
それを見る妹子は、何を言うわけでもなく。ただただ、冷たい瞳を向けるばかりだった。
彼は、
「―――ッッ!」
何かを言う前に、じろりと見てくる妹子の頬を、何度目かわからない仕草で張り飛ばす。
乾いた音が響き、動きに抗おうともしない体ががくんと揺れた。既に青痣が浮かび始めている頬にまた、血色のよさが一瞬だけ戻る。
打たれたせいで口の中でも噛んだのだろう。妹子は首を微かに振って血の混じった唾を吐き出すと、相変わらず何の感情も抱いてないような目を彼に向けた。
「無闇に泣かなくなったんですね。僕の躾がようやく効いたと見える」
「……」
「始めこそ貴方は太子がどうだの仕事がどうだの喚いてましたが、もうそれもなくなって……僕の好みですよ。煩くないところなんかは」
「……強制的に発言権を無くした口がよくそんな事言えますね、曽良さん」
蚊の鳴くような妹子の声が落ちる。曽良、と呼ばれた彼はそれを聞いて、小さく笑った。
「失敬な。任意同行ですよ」
「世間で言う任意同行はイコール拉致監禁暴行なんですか。知らなかった」
「えぇ。新しい知識でしょう?」
「全く持って知りたくない知識ですがね」
妹子もまた小さく笑う。しかしやはり、その笑みが数分と持つ事はなかった。
曽良がそっと顔を近づけてきたものだから。
「口付けするってんなら舌噛んで死にますよ」
べろ、と小さく舌を出して妹子は言う。
それに一瞬目を丸くした曽良はしかし、こらえきれないとばかりに笑みを深くした。
「そんな事を言うもんじゃないですよ、妹子さん。……大体、舌を噛んで死ぬなんて自分の力では出来ません。噛み切るための力を自分で入れる前に、体から無意識の抑制がかかりますからね」
「……」
「まぁ、それでも噛み切って死にたいって言うなら、お手伝いくらいはしてもいいですが?」
曽良の細い指がくいと顎を持ち上げる。
先程張り飛ばした際に唇が切れたか、溢れる血が妹子の唇を染めるだけに留まらず、顎をたれて指の方へと落ちてくる。
綺麗な血です。曽良は深めた笑みをそのままに、親指でその赤を乱暴に拭った。
「妹子さん。本当に綺麗ですね」
「…」
「愛しいです。殺してあげたい」
「……死んでほしいなら望みどおり死んであげますが?」
「違いますよ。僕は貴方に死んで欲しいんじゃなくて、貴方を殺したいんです。それくらい好きです。妹子さん」
顎に添えていた手を、何の前触れもなく離して曽良は言う。
急に支えをなくした顔ががくん、と重力に逆らいもせず俯くが、それに構わず曽良は続けた。
「例えば僕が貴方を本気で殺しにかかるとしましょうか。得物は……そうですね、包丁がいい。鋏だと要らない痛みを与えるでしょうし、解体に時間がかかるから。
まぁそれはともかくとして、こうやって抵抗も出来ない貴方がいよいよ僕に殺されるとき、誰を思いますか?あの小憎らしい太子とか言う男ですか?それとも貴方の友人の鬼男ですか?違いますよね。まさか僕の知り合いのジジイじゃないでしょう。一番接点のない閻魔さんも除外される」
詠うように続ける曽良は、どろりとした悦びを宿した瞳で妹子を見た。
「そうなると残るのは誰ですか?今際の果てに思うのは誰ですか?目の前にいる、貴方を殺そうとする男ではないですか?」
「……」
「貴方の中を僕だけで満たしたいんですよ。僕は。他の誰も要らない。他の誰が入る隙間なんて要らない。貴方の中を隙間なく僕だけで満たしてしまいたい。貴方を殺す事でそれが得られるというなら、僕は迷わず貴方を殺してあげましょう」
「屍姦趣味とは、また性質の悪い」
「死体でも愛は注げますから」
曽良は何も悪いことなどしていないとばかりに、微笑む。
それを見ていた妹子の唇に、ようやく笑みが浮かんだ。曽良が今この場で見た中では、初めての笑みが。
「死体は腐敗しますよ。こんな場所でも、時間と言う制約は待っちゃくれない。僕が死んだらその死体は腐敗して、やがては肉が溶けて骨になるでしょうね。僕と言う形を残した肉がなくなって骨になるんです。そうしたら僕は僕じゃなくてただの骸骨と一緒だ。火葬されて墓場に入った遺骨とも一緒、貴方が死んだ後残る骨とも一緒、何の区別も持たないただの骨になるでしょう。
そうなった僕でも、愛すというんですか?」
「愚問ですね」
曽良は目線を合わせようとしゃがみこんで、うっとりと蕩けた瞳を妹子に向けた。「貴方の中が僕だけで満ちさえすれば、僕は既に貴方でいっぱいなんですから、どんな骸骨になっても見間違える訳ないでしょう?」
「……ふふ。あはは、あはははは」
妹子は笑った。こらえきれないとばかりに体を震わせて。もし腕が自由なら腹を抱えて笑い転げているのではないかと言うくらいに。
「あははは、あはははは、あはははは!」
「どうしたんですか妹子さん。突然笑い出したりして気持ちの悪い」
「いえいえ。何でもないですよ曽良さん。ただ」
「ただ……なんです?」
「僕は今一生分の運を使い切って、憎ったらしいくらい無償の幸せを手に入れたんだなぁと確信しただけで」
Ambivalence between Two
(それはいとしい貴方を殺してしまいたいと言う人間の、精神的な欲求に近い、)
***
ヤンデレ大好きすぎてもうどうすればいいのか。
やたらテンションがあがります。多分純情書いてるよりテンションがすごい。
ちなみにこれは某SNSの姉さんとのコラボでございます。ぱっひょい!
信じられるか……?こんな駄文に神的存在のイラストがつくんだぜ……?
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