レゾンデートル

※Attention※
・日和＠バンドパロディ
・パート分けは下に記載
・グダグダっちゃあグダグダ
・何だかもうわからん(´∀`)

それでも宜しければ追記から☆
ちなみに当方のバンド設定は、
Vo.閻魔
G1:太子
G2:妹子
Be:鬼男
Dr:曽良
って感じです♪
芭蕉さんはマネジャだけど要請があればキーボードもできよ的なノリ。
いいの、グダグダなのはわかってる。



『歌える僕たちの記録を、ここに残します』



 

寂しげに座り込んでどうしたんだい？
そんな溜め息ついてたら、幸せだってまわれ右
君の眼に映る景色だって、色なんか見せてくれやしない

せっかくの幸運、逃がしちゃ勿体ないだろ？
なんのために腕がある？なんのために足はあるんだ？
なんのために口がある？なんのために瞳があるんだ？

そうさ僕らは歌の申し子

歌おうぜ、High tentionで！
錆びついた心(ハート)動かして
歌おうぜ、世界でたったひとつの音楽！
僕らは歌うためにここにいる


***


「んー…」
手の中で使い古したシャーペンが踊った。
踊りすぎて危うく手から紐なしバンジーでも決行しかけたこのじゃじゃ馬をなんとか手の中に収め直してから、柄にもないねぇ、なんて目の前のノートを見て苦笑いした。
本当、オレらしくないなぁ。こんな事今からまとめてどうするんだって話でしょうに。ねぇ？
とまぁ、問いかけた先には誰が居る訳でもないから、仕方なく溢れそうな笑いを何とか呑み込んでおく事にした。
幾らメンバーとマネジャさん、スタッフ以外は入れない楽屋だからって、一人でほくそ笑んでたらキモいっつうの。
「あれ、閻魔さん。早いんですね」
そんな事を考えてたら、後ろで聞きなれた声がした。振り返ればそこには、ギターの妹ちゃんがいる。
……知らない人のために言っとくけど、妹ちゃんは男だ。確かに名前は小野「妹子」なんて明らかに女の子ーって名前だけど、それを本人に言おうもんなら「誰が女だおんどりゃあぁ！」なんて飛び蹴りが来る事は必須な訳で。(実際に喰らってるのは主に親友の太子なんだけど)
触らぬ妹ちゃんに飛び蹴りなし。って事で、「相変わらず可愛いね☆」なんてどこぞのタラシが言いそうなからかいは胸の奥ふかーくにしまっておくことにした。
「ん、まぁねー。ちょっとやる事があったもんだから」
「何をやってんですか……」
ギターを背負ったまま、妹ちゃんが半分呆れた様子で、けど半分は興味津々な感じでこっちに来る。
やれやれ。こういう人懐っこいとこ、うちの鬼男君にも見習ってほしいもんだよねー。
「あ、これはね――――」
「おや。大王」
傍までよってきた妹ちゃんにノートの説明をしようとしたオレの目の端に鮮やかな金髪が掠めたかと思うと、今度は鬼男君その人がひょっこり楽屋にやってきた。
噂をすれば影、だねぇ。ホントに。
「小野まで。二人で何かやってたんですか？」
「いえ。僕もさっき来たので。閻魔さんが何かノート広げて考え事してたから何をしているのかと」
「作詞じゃなくて？」
背負ってたベースを降ろしながら、鬼男君は首を傾げる。
作詞じゃないんだけどなぁ。とは思ったけど、どうせこっち来るだろうから説明は妹ちゃんとまとめてやればいいかって事で、肩を竦めるだけにしといた。
「それにしちゃポラロイド写真が多い気がしますけど」
ノートを覗きこんで妹ちゃんが言う。その背中に、「小野、ギター降ろしたらどうだ？」と鬼男君の含み笑いが聞こえた。
忘れてた。妹ちゃんは慌てて言うと、一旦オレから離れてく。その代わりに鬼男君が、さっき妹ちゃんのいた場所にひょいっと入り込んでノートを覗きこんだ。
「“KISEKI”…？奇跡ですか？」
「うんにゃ。軌跡。辿ってきた跡とかそんな感じ？」
「はぁ……それを纏めてるって事ですか」
「んー、そう言っちゃあそうだしそうじゃないと言えばそうでもない」
「また曖昧な」
鬼男君が溜め息をつく。その後ろから妹ちゃんが、結局何なんですかそのノート、と覗きこんできた。
それを説明しようとしたオレの代わりに、鬼男君が非常に簡潔かつわかりやすく、説明を入れてくれる。
流石長年連れ添った後輩。オレの事わかってくれてる。……なんて本人に言ったら速攻0.38秒くらいで「腐れ縁ですが」とか返ってきそうだけど。
「思い出作り、って事ですか？」
「ちょっと妹ちゃん、何かその言い草まるでオレらが今から解散するみたいだよ？」
「えぇ？そんな解散するような響きでした？」
「響きだったねー。それはもう」
ニヤニヤしながら言ったら、妹ちゃんは明らかに困った様子を前面に押し出してきた。
ころころ表情が変わるとこもまた可愛いんだよねー。からかい甲斐があって。
「……大王。あんまり小野をからかわないであげてくださいよ」
そんなのを楽しんでたら、妹ちゃんの死角で鬼男君がこっそりそんな事を言ってきた。
ちぇ。ばれてたか。やっぱりこっちも死角で舌を出してから、ごめんごめん、と妹ちゃんに謝っておく。
「騒がしいと思ったら……」
と、今度はこの空間をぱきんと割るような澄んだ声。
三人同時に視線を送った先には、ドラムやってる曽良くん。この子こそ妹ちゃん以上に線が細くて、遠目で見るだけなら女性って間違われてもおかしくないくらいなんだけど、本人には怖くてとても言えない。
まぁ、こんな物静かに見えてライブの時は結構はっちゃけてくれる訳だけど。
「もう来てたんですね。三人とも」
特に閻魔さん。と、黒い切れ長の眼がこっちを見る。
そりゃオレは太子と並んで遅刻魔だけど、そういう見方をされるのはちょっぴり心外だ。
「ん、まーね。ちょっとやる事があったもんだから」
「作詞ですか」
「……皆同じこと聞くのな」
「？」
曽良くんは訝しそうな様子で目を細めたけど、他の二人と違ってオレのやることにさしたる興味なんてないんだろう、静かに楽屋に入るとスコアを出して練習をし始めた。
「ほらほら二人とも、オレの事はもういいから弦の調整でもしなって！本番じゃ音外しましたなんて萎えた真似許さないよ？」
それを見ながらオレは、実に自分勝手だと思いながらも二人の背を押して離れさせる。
鬼男君なんかは何なんだ結局、と言わんばかりにこっちを見て来たけど、それを見なかった事にしてオレはノートに目を戻した。
手の中でまた、オレのお気に入りのじゃじゃ馬が躍り出す。
行きつけの文房具屋でデザインに惚れただけのコイツはいまや、この「KISEKI」をまとめるのには最高の相棒だ。
万年筆とかでも良かったんだけど、流石にインク入れ替えとか面倒だし。
「すまーん！遅れたー！」
「太子！遅いじゃないですかー」
そんなオレの背後で、ぜいぜい息をつく太子の声が聞こえる。あとそれにグダグダと、オレに対する鬼男君の如く文句を言う妹ちゃんの声も。
「ごめんね、私が引きとめちゃってて」
「おや芭蕉さん、いたんですか」
「居たって何なの曽良君！私、いちおう君たちのマネージャーなんだけど！？」
「要するにこのメンバー内では空気ですよね。わかっています」
「うう……キーボードだってできるもん……」
そのすぐ後に、マネージャとキーボードを掛け持ちしてる芭蕉さんの声も。


ほら太子早く調整しますよ！と妹ちゃんがせかす。
分かってるようっさいなーとダルそうな太子の声が続く。
曽良くんと芭蕉さんが言い合って、その後何か鈍い音と芭蕉さんが蛙のつぶれた時のような声を出すのも。(……うん、聞かなかった事にしとこう)
その中に鬼男君の声が混じらないのは、真剣にスコアと向き合ってでもいるからだろう。あの子は昔から集中すると周りが見えなくなるし。


ざわざわわと声の波がする。相棒をノートに滑らせるオレの耳に。
これがステージに出たら、いっそやかましいくらいになるんだけど、今の喧噪すら心地いいくらいのオレには楽しい以外に思いつかない。


ちらりと時計を見る。針は午後の五時半を指していた。
あと三十分したら、もっとこの楽屋の中はあわただしくなるんだろう。
そして、一時間したら。
それを考えると唇が自然に笑うのが止まらなくてしょうがないから、バレないだろ、とくすくす笑った。
「楽しそうですね」
それでもふと聞こえた声に目を向ければ、人の事言えないって感じに笑いながら、鬼男君がそんな事を言ってるのが見えた。
「鬼男君も楽しそうにみえるけど、そこんとこどうよ？」
「楽しくないと思いますか？」
「質問に質問で返すのはいただけないと思いまーす」
まぁ、答えは知れてるけどね。
鬼男君はくすっと笑うだけで後は何も言わずに、またベースのスコアに戻って行ったから、オレもノートの方に戻った。
さて、スタッフさんが来たら、またポラロイドカメラを渡しとかなきゃ。
そう思いながら、相棒をノートに滑らせた。




「×月○日　レジェンズホールでのKISEKI」








We can Singing!!
(一人ひとりが作る軌跡を、書きとめておこう。後で見直して笑えるように)











***
タイトルがアレなのに歌ってない件について。
ライブの風景でも書こうかなと思いながら陰陽座とかT.M.Rのやつを思い出しながら書いてたんですが、どうにも上手く纏まらなかったので楽屋での一ページって事にしときました。
タイトルセンスがないから他のが浮かばないんだ……せめて閻魔に何か歌わせればよかったorz

なので最初の方にえらくド下手な歌っぽい何かを置いてみました。
萎えますよね……すみませんorz


ちなみにBGMは「TONIGHT,TONIGHT,TONIGHT」でした。某脱色のOP？ED？のやつの。
テンションあがるよねーこれ。かなり好き。

[0回]