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昨日書こうとしてうっかりポケスロンしてたとは迂闊!
あと1匹でメダリストポケモン10匹になるもんだからつい……。
※Attention
・創作冥界十王の話(全体的なタイトルはまだ未定)
・閻魔大王も側近の鬼も創作
⇒キャラ紹介
*閻魔大王:見た目15歳くらいの男の子。外見はもろ子どもだが閻魔の名を冠する。性格は悪い。
*柘榴(ザクロ):閻魔大王の側近。引き立てられた亡者の罪状を事細かく記録する係。物静か。左頬に刺青。
・割とまともにグダッとしてます。
・他の十王も出てくるお話ですが今回は上記の二人のみ
創作十王とかないわ、という方は申し訳ないですがこの先を閲覧しない方がいいかと思います(´・ω・`)お互いのために;
大丈夫どんとこい!な方はどうぞ続きからご覧ください!
『血と泥に塗れたあの場所で僕らは出会った』
熱い泥と血とが入り混じってごぼごぼ沸騰する、さながら血のような池。
そこで生まれた、深い赤の髪を持つ鬼が一匹、そのほとりに佇んでぼんやりとそこを眺めている。
まだ未熟な体はそれでも美しかったが、悲しい事に腕も足も骨を思わせるように細かった。面差しも鬼特有の整ったものであったが、痩せすぎているせいか本来の麗しさはそこに殆ど残っていなかった。
その鬼は鬼として生まれながら餓鬼を思わせるような風体であった。
そんな変わり種であるから、無論この冥府のような冷たい者どもの間で相手にされることもない。それどころか、「ここは地獄道だというのに、こいつは何処をどう間違ってここに生まれ落ちたというのか」「餓鬼道ですら手に負えないどうしようもない屑であるか」と揶揄され傷つけられ、鬼としての尊厳すら持たせてもらえない毎日が、この鬼には降りかかって来ていた。
鬼は血の池を虚ろに眺めながら、常に視線の先のそれを呪っていた。
何故ぼくを普通の鬼として産んでくれなかった。こんな餓鬼のような醜い体にするくらいなら、何故ぼくを鬼としてこの地獄に産み落としたのだ。せめて餓鬼としてその道に産んでくれていたなら、ぼくはこんなになってもまだ過ごして行けただろうに、と。
赤い髪を持つその鬼は、ゆっくりと血の池に歩み寄った。どうせここにいても鬼として扱われぬのであれば、もう一度血の池に還ればいい。そう思ったのだ。
だが、その時だった。
「待って」
澄んだ少年の声が、その鬼を止めたのは。
のろのろと視線を向けた鬼の先には、声に違わぬ姿をした長衣の少年が一人。
「お前は今から何をしようとしてるの」
「……関係ない」
「そうかな。お前は見たところすごく綺麗な顔をしてるじゃない。血の池に捨てるには、あまりに惜しいと思うけどな」
「ぼくは綺麗なんかじゃない。この餓鬼のような体とか、見てわからないか」
「残念ながらおれの目に狂いはないんだよ。なんたっておれはこの地獄道で一番偉いんだし」
得意げに少年は笑い、血の池へ今にも入り込もうとしていた鬼の手をぐいと引っ張った。
「おいで。お前に名前と、地位と、居場所をあげよう」
「…ねーねー柘榴ちゃん。そろそろ休憩しない?」
「それ言ったの一万と三十六回目ですよ」
「おれがそれくらい言ってるってことはそれだけ疲れてると察してくれないかな」
「ああ、それはすみませんでした。ですが貴方はそう言って休憩したら延々と休憩なさる方ですので」
傍らの書類を纏めながら淡々と返す柘榴に、閻魔大王と呼ばれるその人は唇を尖らせる。
それをしばらく柘榴は無視していたが、閻魔が全く何も返さない…要するに不貞腐れているのだと知ると、溜め息混じりに書類の束を傍にあった棚に押し込んで、
「仕方ないお方ですね。なら、少しだけ休憩しましょうか」
「やっりぃ!」
「但し、次の法廷までですよ」
休憩を承諾した。閻魔にしっかり釘を刺すのは、忘れないようにして。
閻魔は机からすぐに離れると、じゃあ行くか、と柘榴の手を取って歩き出す。
「行くって何処へ」
「お前を拾った場所だけど?」
「……えー」
「何でそんな嫌そうな顔するの。て言うか嫌そうな顔しても綺麗だね柘榴ちゃん」
「その言葉はもっと綺麗な女性に言いなさい。そして嫌そうなではなく全力で拒否しているんです。あの場所には自殺を考えていた思い出しかありませんし」
「まぁまぁそう言わずに」
「……」
柘榴はたまらず逃げようとしたが、この閻魔大王は子どもの姿ながら相当力持ちのようで。結局のところ成す術もなく、引っ張られてしまうのであった。
「やー、相変わらずどろっどろしてるよねここー。おれはこれくらいどす黒いような血の色が好きだから別にいいけどー」
「……」
「この香りもさ、割といい感じ醸し出してると思わない?ただ血なまぐさいんじゃなくて、何て言うか、ちょっと甘いような感じ?おれだけがそう感じるのかね」
「……」
「ねー柘榴ちゃん、黙ってないで何か言っ」「貴方は」
「貴方は何故、私をここに連れて来たのですか?」
柘榴は半ば閻魔を睨むように目を細めて問う。閻魔はそれをただ、黙って聞いていた。
「先程も言ったでしょう。ここには自殺を考えていた時の思い出しかないと。貴方が通りがからなければ、私はとっくにこの池の一部だったのですよ。それとも何ですか?今更私を拾ったのを後悔して、ここに捨てにきたのですか?」
「前にも言ったはずだよ。血の池に捨てるにはあまりに綺麗だから勿体ないってね」
「ならば何故」
「柘榴」
閻魔は黄金色の目を細め、くすくすくす…と笑った。
「悲観的な思考に走るのはお前の勝手だけどね、少しはおれの言葉も聞いてくれないかな。おれはわざわざここに出向いて、他にもおれの側近に付きたがってた奴みんな門前払いして、それでもお前を選んだんだよ。お前を拾ったのを後悔して捨てに来る?冗談じゃないね。そんなまどろっこしい事するくらいなら、初めからお前なんか拾ってないよ。おれがわざわざここに来たのは、お前が改めておれのものになってるんだって確認させるためさ」
書類より分かりやすいでしょ?閻魔はそう言った。
柘榴はそれを茫然と聞いていたが、やがてふっと小さく笑う。
「そんな事しなくても、貴方に拾われたその時からずっと、私は貴方のものですよ」
「念のためだよ。宋帝王の馬鹿野郎がお前を勧誘してると聞いたからね」
「本当に仲が悪いですね」
「違うよ。宋帝王の馬鹿が分からずやなんだよ。屋敷の前に蛇やら猫やら放し飼いにしやがってあのネクラ、おれが何度噛まれたか」
「……」
柘榴は小さく笑う。
ああ、やっぱり私は、この人に拾われて良かったと。
それを見た閻魔も、不機嫌な様子を改めてにかっと笑った。
「そういう訳だから、他の奴らに浮気なんかしないでよ?そんなことしたら許さないからね。おれこう見えて嫉妬深いし」
「言われなくとも、貴方以外にお仕えなどしませんよ。閻魔様」
おまけ:
「ところで、閻魔様」
「なに?」
「貴方はどうして私を拾ったのです?綺麗と仰いましたが、あの頃の私は…自分で言うのも変な話、綺麗ではなかったと思いますよ?髪はぼさぼさだし全身傷痣だらけだし目は死んでたし手足は枯れ枝だしアバラは浮いてたし…」
「よくそこまで悲観的に自分を見られるね柘榴ちゃん……まぁ確かに間違ってはなかったけどさ」
「なら、何故?」
「そりゃ、おれが面喰いだからだよ。こいつは磨いたら光るってやつは、見た目がどうであれ素質ってのがある訳だ。その素質通り、今のお前は他の鬼に負けないくらい超絶美人になってるでしょ?いやー、美人を二人はべらせるの昔からの夢だから、雛菊ちゃんと柘榴ちゃんの二人でまさに両手に花ってやつ?」
「……とりあえず最後の部分だけは聞かなかった事にしておきます」
***
創作十王!書いてみたかったものを書けて割と幸せです。
この閻魔は相当面喰いで上手い具合に「子供」である自分を使うタチの悪いやつです。そして柘榴はもしかしたら振り回される苦労性。
次には秦広王とか初江王とか出してみたい……♪
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