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いつかに忘れてきたものを今更どうしようもないのに思い出してしまった、のは。誰のせいでもなく。

2009.10.11 - 捧げ物
勝手に捧げてしまいますごめんなさい。愛しすぎる。


※Attention
・睦月様の「突きぬけろ天国」二次創作です。捏造天国のお話。
・一応、縁鬼と出会う直前というシチュエーション、で…す…orz
・「突きぬけろ天国」に出てくるキャラクターで進めさせていただいてます(詳細は「突きぬけろ天国」のページにてどうぞ。PC閲覧推奨です)
・なんだかもう本当に色々すみません。大好き。
・タイトルセンスはあまりにアレなのでいいものが思いついたら差し替えます。すみません;


リンク許可いただいたので貼らせていただきます。
突きぬけろ天国
何だかもう本当に大好きです……。





『その姿もその声も、全く知らない他人のものであるはずなのに、』




勝手に決めてくれるな。
と、閻魔大王は内心溜め息をついた。




目の前に差し出された封書を何かと思って開いてみれば、そこにあったのは「秘書」という文字。見る事も、まして口にするのも重い気分になるような文字だった。
別に秘書を取るのが嫌だと、そういう訳ではない。ただ、別に秘書などなくても今まで自分一人でやってきたという事実があるし、これからもずっと一人でやっていける自信もある自分に、しかも何の断りさえなく、こんな知らせが舞い込んでくるなど想像もつかなかったのだ。
現に先程も、列成す亡者を天国、地獄と振り分け終わったばかりだった。それも、霞んでしまうくらい長い列をなした亡者たちを、たった一人で。
それだというのに寄越された知らせが別段頼んでもない秘書の派遣となると、どうにも困ってしまうのが現状であった。
「適正者が現れたと聞きましたよ」
がさりと書類を出す傍らで、それを持ってきた鬼はどこか楽しそうに言う。何を期待してそんなに楽しそうなのか、閻魔大王が理解する術もなかったが。
それでも仕方なしに、書類へと目を通すことにした。
「名は縁鬼……」
ちらちらと文字を追ううちに、閻魔大王の顔はどんどん驚きをあらわにしていく。
「って、今日から?!」
急だな、と閻魔大王の口から呟きが漏れた。せめて一週間か二週間くらい前にこういう決定がなされていたなら、己が権限を使って拒否する事も出来ただろうというのに、あまりにも時間がない。
「拒否権もなしか…」
「どんな鬼がつくことになったんです?」
傍らの鬼はいかにも新しい秘書に興味津々と言った様子で、閻魔大王に問いかける。
改めて書類に目を通すが、そこには縁鬼という名前の鬼がいついつ秘書につくと決まったので云々、という内容と秘書に抜擢されるまでの大まかな経歴が横たわっているだけで、これといってその「縁鬼」本人にまつわる情報は詳しく書いていなかったし、写真すらも貼っていなかった。いかに無茶ぶりを発揮する役所も、流石にこういう部分だけは守るようであるらしい。
「写真がついていないし、そんなに誰かを特定もしていないからな……どんな、というのは」
「そうですか……でも、私は新しく秘書がついてよかったと思いますよ」
「何で」
「一獄卒の私が言うのも変な話ではありますが、大王は一人で働きすぎです。このままではそのうち体を壊してしまいますよ」
「そうか?」
「ええ。あくまでこれは私の意見ですが、きっとほとんどの鬼はそう思っていますよ」
「……」
別に一人でもやっていけるんだが。
そう思って傍らの鬼を見やれば、それに気付いたのか小さく首を横に振り、
「では、私はこれで失礼します」
「ああ、ありがとう」
一礼して部屋から出ていってしまった。
残される形になった閻魔大王は、つきかけたため息を呑み込むようにしながら、改めて書類を見やった。
名前は縁鬼。年齢の欄は空白であるため不明だが、性別は男。秘書としての適性があると発覚した途端に修練を重ね、あらゆる試験に合格し、今回秘書へ抜擢されるに至ったとの事だった。
随分優秀な鬼のようだな。
ふむ、と書類の文字を追いながら、閻魔大王は感心した。ここまでして秘書になりたいというものも珍しいと言えば珍しい、そう思ったのだ。
今までの秘書も確かに優秀ではあったが、経歴を見る限り、ここまで努力に努力を重ねて抜擢されるに至るケースを、閻魔大王は見た覚えがなかった。
ただそれも、長い間秘書を取らなかったうちに忘れてしまっただけなのかも知れないが。
「…ん?」
危うく考えに沈みこみそうになっていた閻魔大王の耳が、扉をノックする軽い音をとらえる。
先程から何度も名前だけは見かける「縁鬼」と呼ばれる鬼か、はたまた違う鬼か。どちらにせよ、今ここにいるのに留守を装うのは、あまりに人が悪いというものだろう。
「どうぞ」
扉に声をかければ、静かに響いていたノックが止んだ。
「失礼します」
続いて幼さの抜けきらない、しかし凛々しい声が、扉をあける音と共に部屋の中に入ってくる。
「縁鬼」であろうか。
閻魔大王はその姿を一目見ようと視線を向け。
「っ…?」
絶句した。
あまりにも今までみた中では若すぎる。そういうのもあったが、何よりその見た目が今まで何度も見た事があるはずの誰かに酷似していたから。
「だい…おう…?」
思わずがたりと椅子を弾き飛ばさん勢いで立ち上がった閻魔大王の口から、言葉が零れおちる。
鬼は戸惑いながらも茫然と、閻魔大王を見た。
「……」
「あの、閻魔大王?」
「あ、ああ。すまない。ちょっとびっくりして……知人に似ていたものだから」
「そ、うですか」
溜め息混じりに言う閻魔大王に、鬼はほっと安堵の表情を浮かべたが。
「……改めまして、閻魔大王。僕が今日から秘書として貴方様のお手伝いをさせていただきます。縁鬼と申します」
すぐにぴしりと姿勢を正して言った。
閻魔大王は微笑みかけながら、そっと内側で息を吐く。
その背格好も声音も、あくまで“酷似”しているだけで、自分が知っている、自分が思っている「大王」とやらではない。
それに対する、安堵なのか落胆なのか分からない気持ちを持て余しながら。
「今日からと言う事だから、さっそく仕事をしてもらおうと思うが、大丈夫か?」
「もちろんです!どのような仕事でも、言いつけてください」
「頼もしいことだ。…ああ、そんなに緊張しなくていい。もっと気軽に構えてもらって構わないんだから」
閻魔大王はそっと縁鬼に歩み寄り、これから宜しく、と肩を軽く叩いた。
刹那。
「?!」
何か酷い痛みを感じたか、閻魔大王の顔が歪んだ。
こちらもちりっとした刺激を感じたか、縁鬼も何事かとばかりに眉を寄せて閻魔大王を見やる、が。
あまりにも虚ろな相手の目に、たまらず息を呑んだ。
「っ…」
縁鬼の口から、声にならない声が息の代わりに細く溢れる。
どうしたのかと言わなくてはいけない。それが駄目なら、せめて声だけでもかければ何か変わるんじゃないか。
そう思って縁鬼は口を動かすが、焦る気持ちとは裏腹に思考ばかりが空回りして、まるで言葉にならなかった。
それに何か言うでもなく、閻魔大王の膝ががくりと折れ、見る間に縁鬼へと縋るようにくずおれてしまった。
「え、閻魔大王?!大丈夫ですか!」
「…い、お……」
「何ですか?何か気分が悪いんですか?」
自分より明らかに体格のいい大人の体重が全身にかかるが、それでもよろめくのだけはと必死に地面を踏みしめ、縁鬼が心配そうに傍らの閻魔大王を見やる。
その顔がどんな風になっているのか縁鬼からは見えなかったが、うわごとのように呟く言葉だけは、縁鬼の耳にも届いた。




「…大、王…」




「え…?」
大王?と縁鬼が目を白黒させる。自分にとっては今ここで寄り掛かってきている閻魔大王こそが「大王」と呼ぶに値する人物であるのだが、その閻魔大王がそう呟くという事は、他にも「大王」と呼べるような人物が何処かにいるというのだろうか。
自分が知らなくて、閻魔大王は知っている「大王」という存在が。この広い冥府の何処かに。
しかしそれを閻魔大王に問う前に、我に返ったらしい閻魔大王がゆっくりと、縁鬼の肩を掴んで身を離す。
ぜぃぜぃと荒い呼吸が、縁鬼からだんだんと遠ざかった。
「…いきなりすまない。大丈夫か?」
閻魔大王はまだ少しふらついたような様子で、格好悪いところを見せた…などと、縁鬼に苦笑いを向ける。
だが、明らかにその顔は、体調が悪い者のそれだった。
「僕は平気です。それより、閻魔大王……」
「早速仕事を頼みたい。書庫の方に午後の法廷の資料をまとめたファイルがあるから、取ってきてくれないか?書庫の場所は…」
「だ、大丈夫です!行ってきます!」
縁鬼はそう言ったが、それでも閻魔大王を気遣うように視線を寄こしながら、慌ただしく部屋を出ていった。
彼が出て言ったのを確認し、閻魔大王は、苦しげに息を吐いてその場に膝をつく。













「           」
その言葉に答えるものは、誰ひとりとしていなかった。












***
つ、ついに書いてしまったぁぁぁぁ!
何だかもうごめんなさい色々と。今日から押入れに住みます……orz
しかもこの勢いで縁鬼君の視点でも書いてみたいと思っている辺り救いようがない。あああorz

閻魔であるべき表記を「閻魔大王」にしているのは、私なりの区別の仕方です。
閻魔と表記するのが日和の閻魔で、「閻魔大王」の時は閻鬼男的な。すごく分かりにくいですがorz



こんなものですが、一方的に睦月様へ捧げます……!
何と言うか、本当にありがとうございました!大好きです!

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文月 零架(フミツキ レイカ)
性別:
女性
職業:
心意気は小学生
趣味:
読書とか創作とか
自己紹介:
日和の天国組とTOVのユーリさんが好きなあらゆる意味で変態な物体X
本名はフォルデモンド・アエーネス・REIKA・97779・ネフェルタリー
これを略すると「零架」になります
(※大嘘)

文を書いたり本を読んだりが大好き。
ちょっとしたことですぐ凹む、豆腐より脆いハートです←
あ、豆腐は言いすぎた。

あと妖怪関連とかも大好き。
神話や伝説と言う単語だけでも反応する上、鬼とか名前が出ると飛びつきます←
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