なんかもう全体的にグダグダですごめんなさい。
文才欲しい……。
※AttentioN
・天国のような気がする
・オニオン視点
・二人の間がピリピリしているような感じ
・なんだか最近こんなのばっか
・方向性がずれているような気がしないでもない
『本当はわかってるんだろう?あんたが羨むように語る生も死も、あんたにとっては戯言に過ぎないんだと』
閻魔大王と言う存在を初めて見たとき、正直に目を疑った。
この細くて今にも手折れてしまいそうな指とか、血が映えそうな白い肌とか。どこまでも、それこそこの冥府の空より昏い赤の双眸とか。全体的に怖いというより線の細い美人を思い起こさせるような風貌をしている。
およそ普通の人間がイメージする『閻魔大王』とかけ離れたこの存在は、やはり閻魔大王なのであって、それ以外のなにものでもないわけだが、時折僕には、この存在が本当に閻魔大王なのか疑ってしまう時がある。
毎度の如くセーラーについて考えていたりとか、(その度にこの変態大王イカが!と何度刺し貫いたかわからない)突拍子もなく意味がわからないことを有言実行したりとか、そういうところは全然閻魔大王じゃなくて、むしろそこらにいそうな変なオッサンじゃないかと思う他にない。
そして何より威厳がない。死者の訴えに悩んだりする。怯えたりもする。その度に傍であんたが恐れる必要がどこにあるんだとため息をつかずにいられないのが現状。
ほら、今だって机にべたーと広がっている。
いい加減真面目に仕事しろよ、この馬鹿大王。
「何?」
「何って何がですか」
「今呼ばなかった?」
「呼んでませんけど」
「あーそう?おかしいな、今鬼男くんに呼ばれた気がするんだけど」
「ついに痴呆か」
「痴呆する歳じゃない!」
「はいはい。わかったからそこの書類目を通してくださいね」
「……」
渋々、と言った調子で相手は紙の分厚い束を手に取った。
見ているだけでこっちが辟易しそうな量を、けれど一旦集中し出したらもの凄い速さで読み始める。ああ、やっぱりコイツは閻魔大王なのだ。あんまり認めたくないけど。
「ねー、鬼男くん」
「何ですか?」
「死ぬ」
「は?」
「……って、やっぱ苦しいんかな」
「紛らわしいな問いかけ方が!て言うか僕が知るわけないでしょうが」
「うーん、やっぱそうかぁ」
「どうしたんです、藪から棒に」
「いや?ただ、死ぬってどんなかなぁと思っただけ」
線の細い大王の指が書類をめくる。
何なら僕が殺してあげましょうか?そう言いだしそうな口を引き結んで、よくわからないとばかりに僕は肩をすくめておいた。
こんな風に死を語るときの大王は何より僕が嫌いな面の一つだ。人間じみた事を云う奴だなと心の底から嘲りたくなるしそんな要らんこと語るな虫唾が走る、と砕きたくなる。
大王の嫌いなところなんざひとつひとつ取り上げればキリがないが、それと同じくらい好いてるのだから我ながら手に負えやしない。そう思う。
「つかあんたって一応一回死んでるんじゃなかったんですか」
「んぁ?ああ、まぁ、オレは世界で最初の死者だからね。でもそんなド昔のこと覚えてると思う?」
「あぁ、痴呆ですもんね大王は。すみません僕が悪かったです」
「だーかーら!まだ痴呆起こすような歳じゃないし!つかオレ永遠のセブンティーンだもん」
「おちょくってんのかてめぇは」
「痛いいたいイタイ!刺さないで刺さないで!ごめんなさいもう言わないから勘弁して!」
全く、と爪を引き抜いてやれば、向こうは涙目で傷口を撫でる。
その黒く艶めく爪を持つ指がそれを撫ですけばすぐ、傷は先程あった事を疑いたくなるくらい綺麗に塞がった。
あぁ、やっぱりこいつはなんだかんだ言いつつも閻魔大王なんだ。……そんな、既にわかりきっている事を、僕の頭は何度も何度も反芻する。
そんなに認めたくないのか、僕は。いや、きっとそんなはずはないのだろうけど。
じゃあ何で今日に限って行動のひとつひとつに「あぁ、こいつは閻魔大王だ」なんて僕は再確認する羽目になっているんだろうか。
「鬼男くんはさ」
「今度は何ですか。つうか集中できないんですかあんたは」
「殺したことある?」
「何を」
「生き物を」
相変わらずすごい速さで書類に目を通しサインをする傍らで、口調だけはのんびりと、大王は問いかけてくる。
いったいさっきから何が聞きたいんだろうか。今日の大王はいつにも増して意味がわからない。
……もしかしたら、今日の“いつにも増して意味がわからない”大王だから、僕は本当にこの人は閻魔なのかと確かめにかかっているような気がしないでもない。けど。
だとしたら何が違うんだろう。生死についてやたら噛みつくところか。
「そりゃ、まぁ……地獄に来た上こうして鬼になるくらいですし、かなり殺したんじゃないですか?」
「ふーん。でさぁ、そんな君に質問なんだけど」
「それ答えたら以後は集中すると誓えば答えますが」
「相変わらず仕事の鬼だよね君……。わかったよ、誓う誓う」
「明らか怪しいですがまぁ信じましょう。で、何ですか」
僕がそう聞くと大王はぴたりと書類を見る手を止めて、代わりに僕へと視線を寄こした。
そのどろりとした昏い赤の中に、不満げな僕が映っているのが微かに見える。
向けられた顔はいつもどおり、きっといつもどおり、笑っていたのだろう。
「何かを殺すってどんな感じ?殺される感じでもいいんだけど」
「……そんなこと聞いてどうするんですか。て言うかそれさっきの質問とあまり変わりないでしょうが」
「いいじゃん。答えてよ」
大王が、そんな問いかけをするまでは。
そう問いかけられた途端に、内側の方からざわざわと寒気がわき上がってくるのを感じた。
否、これは寒気ではない。寒気にとてもよく似ているけど、それが寒気ではないという事を僕が一番知っている。
気がつけば僕は、伸ばしきった爪を大王の首にあてがっているところだった。
「聞くより体験しては如何でしょうか、閻魔大王」
「……あはは!仔鬼風情にゃオレは殺せないよ」
「どうでしょう。やってみる価値はあると思いません?」
「何なに?君、もしかして秘書になる前からオレの事殺してみたかったとか?」
その爪をちょっとでも傾ければ頸動脈を切られるとわかっていながら、大王はきゃらきゃらと笑うだけだ。
きっと大王にはすべて、わかっているのだろう。自分を殺す存在が、僕では決してないという事が。
僕は笑った。
否、笑ったんだろう。
大王が目を細めているせいで、その紅の中に映る僕の顔を確認する術何かがないからわからないけど。
「まさか。そんな陰謀があるなら秘書になんざなりませんよ」
「えー、そうかなぁ。秘書になるからこそ殺しやすいもんじゃね?前どっかのドラマで社長が殺される話やっててさ、犯人がなんとアリバイ成立してる美人秘書だった!ってのがあったよ」
「そんなモンを見るなよ大王なのに。て言うかそれはあくまで人間世界での事でしょうに」
「でもさぁ、木を隠すなら森の中って言うじゃん」
「それ何か違いませんか」
そう言いながらも爪を引っ込めると、大王は先程僕がとった不敬な態度なんか気にもとめないと言った様子で、再び書類に目を通し始めた。
さっきの誓いは珍しく守られているようだ。それなら邪魔をする訳にもいかないと僕は少し離れて自分がやりかけていた作業を再開する事にした。
生死の戯言語る王
(自分を殺すのが時間である他ないと知りながら鬼を煽るのは、正当な死を望んでいるからなのか?)
***
全体的にグダグダ風味です。こういうビリビリした感じの天国を書けたのは満足なんですが、テーマがずれている気がしてならない。
て言うか
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