※Attention※
・天国(閻魔→鬼男)
・一方通行というかすれ違いと言うか
・鬼男がツンツンしすぎて最早嫌悪じゃねそれ?という域
・閻魔の人が悪い。
・↑もとから?そんなばかな!
・とかくラブラブではない
・ほんわかもしない
・寧ろシリアス?
・寧ろ似非シリアス
以上の事が大丈夫な方は追記からドウゾ。
お題はJ.S.C様からお借りしました!ありがとうございますvv
『愛したいってのと所有したいってのは、同じように見えて全く違うようだ』
オレが君を手に入れた後って言うのは、保証しないけどね。
だって祭本番より準備に燃えるほうなんだ、オレは。つまりは手に入れるその過程を辿るのが最も楽しくてしょうがないワケ。
だから手に入ったその後は……どうでもいい、のかな?
でも要らないんじゃないよ。勘違いしないでね。要らないんじゃない。
「ねー、鬼男君」
「何ですか」
「好きだよ」
休憩中の一コマ。他愛ない時間。
五分くらいのそれの間にもてきぱき書類整理してるその背中に「好きだよ」なんて投げかけてみれば、相手はいかにも馬鹿だろうって目つきでこっちを見て。
「はいはい、それはどうもありがとうございます」
半分以上投げやりにそう返してきた。
その態度がまた楽しい。ここで生娘のように頬でも染められたら途端に興ざめしたんだろうけど、そういうところがないのが鬼男君のいいところだ、なんてオレは思う。
「なんだよー、つれないなー」
「じゃあ何て返せばあんた満足するんですか」
「僕も好きです、って可愛く言ってくれればいいのに」
「寝言は寝てから言えよ」
いよいよ相手はうんざりしてきたようで、あと数分ありますし何か淹れてきましょうか、なんてその場所を離れようとしたものだから。
「いいじゃん。ここに居て」
「……何で休憩中まであんたと一緒にいなきゃいけねぇんだよ」
「うわ酷っ!今オレすっごく傷ついたよ!オレのガラスのハートがブロークンだよ?!」
「煩い勝手に粉々になっとけ。で、あんた何がいいですか」
「いつもの」
「あんなグロい色したのよく飲めますね。わかりました」
「鬼男君も飲んでみたら?甘いのって疲れた時脳にくるよ」
「やめときます苦手なんで」
「あらそう」
鬼男君はそこまで言うと後はこっちも見ずに部屋を出ていく。
一瞬寒い風が中に入ってきて、すぐに引かれた扉に遮断された。
体を切られて残った寒さが悲鳴のようにオレの骨をきしませたけれど、そこはもとから死人の身、別にこれと言って寒さなんてのは感じない訳です。
「あーあー、鬼男君の薄情ー」
一人残された部屋の中でオレは机に突っ伏してみたりする。
けれどきっと、腕の下の顔は酷く楽しそうに笑ってたりするんだろう。
実際とても楽しい。手に入れたいものが手に入らないって言うこの悔しい感じとか、畜生意地でも手に入れてやんよってこの気持ちとか、そういうのが頭や胸やその他もろもろの器官の中で渦巻いて焼き切っていくその感覚が酷く面白かったりするのだ。
こんなの、すぐに手に入るものだったら味わえないでしょう?
こんなの、すごく楽しいでしょう?たまんないよ。
……まぁ、実際拒絶されてそれ全部が楽しさにつながるかって聞かれたら、多分そうじゃないんだろうけど。
そりゃ、嘘で好きとか愛してるなんつー言葉は確かに吐けるっちゃ吐けるだろうけど、それもやっぱり相手が気になっていないと言えないものの訳で。
つまりは1%でも鬼男君に気がなきゃオレは単なる鬼なんかに好きとは吐けない訳で。
そうなるとオレはやっぱり1%くらいでも鬼男君が好きなんだと思う。残り99%が単なる手に入れたい欲望や衝動なんだとしても。て言うかそう言うのはそもそも根源となる感情がなければ生まれないし。
ならやっぱりオレは鬼男君が好きなんだろう。まぁ、否定はしないけど。
沢山鬼がいる中で唯一目にとまった金髪灰眼の鬼。(特に灰色の目なんかは珍しいと思った。そのはかなさがますますオレを燃え上がらせたなんて、そんなのは今更言うまでもないだろう)
その昏い色を宿す目に、その褐色の肌に、目に痛いくらいの金に、このオレは確かに惹かれたのだろう。
だからこうして、鬼男君にすれば飛び級もいいとこなくらい飛び級で傍仕えさせてるんだし。
「大王」
その間に鬼男君が先輩からどんな仕打ち受けたのかってのは、興味があるっちゃあ、ある。
今は知らないけど結構昔には飛び級なんてしようもんなら周りの目は相当痛かったろうしね。
「大王」
「へ、ああごめん」
「お持ちしました」
「ありがと」
無造作に置かれたそれを見て、形ばかりの礼を言って、立ちあがって。
それから用は済んだとばかりに背を向けたその金髪の獄卒を、後ろから抱き締めてみた。
「何ですか」
「さっきも言ったじゃん、好きだよって」
「……休憩終わるんで放してくれません?」
「鬼男君も一緒に座ってやればいいじゃん」
「馬鹿言うな」
振り向きざまに睨んでくる黒い眼の奥にはオレなんか映っていないんだろう。
それがまた、面白い。
「じゃ休憩終わるまで」
「持ってきたやつ無駄にする気ですか」
「合間に飲めばいいしー?書類に零しさえしなきゃ問題ないもんね」
「離れろ」
「嫌だね」
「じゃあ放せ」
「それも嫌」
「……怒るぞ」
「もう怒ってるんだけど」
でもまぁ、刺されたくはないのでおとなしく離れておく。
と、鬼男君は何事もなかったかのように服の乱れを直してから、何か断るでもなく書庫の方へ歩いて行った。
「本当は僕なんか要らないくせに」
その時の囁くような呻きを、オレの耳は逃さなかった。
要らないんじゃない
(けれど手に入れた後大切にする保証もない、っていう矛盾)
***
書き始めた時はノッてて一方通行の方面で言ってたのにいつの間にかすれ違いになっていたと言う。
天国はすれ違いでも相思相愛でも狂愛でもヤンデレでも何でも似合いますね。
個人的には初期の天国イメージ。
鬼男君は特に何も思っていなくて、閻魔が異常な執着を見せている時期だと思ってます。
そして今度は逆になるなり鬼男君も意識するなりで最終的にはこう、ラブラブのアツアツに……!(アツアツって死語?)
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