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2024.05.19 - 
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わたしが死んだらこの心臓を

※Attention※
・天国
・どちらも相当病んでます(これ重要)
・ちょっと鬼男くんが無知っぽく見えるかも知れない
・↑いや、鬼男くんはきっとエジプトを知らないと思うんだ…
・とにかく何だか色んな意味で今回の二人は壊れてます
・しかも壊れてるのが当たり前のような流れになっている罠

以上のことが大丈夫なら追記からどうぞvv



このお題は100100//様からお借りしましたvv
輪駆内「Title」にありますので、宜しければどうぞです





『輪廻に呑み込まれるくらいなら、まだ消滅した方がましだって言う話だよ』






 

『わたしが死んだらこの心臓を』





「ねえ、鬼男くん」
「何ですか?」
閻魔庁執務室。
そのだだっ広い部屋の中、休憩取るよと言ったにも関わらず書類を細かく整理している鬼男に向けて閻魔は声をかける。
そして整理する手を止めた鬼男が此方を向いたのを確認すると、勿体ぶるように話を続けた。
「面白い話を聞いたんだ」
「へぇ。どんな?」
「エジプトの方の神話だよ」
鬼男はその単語を聞くと、何だそれは、と言わんばかりの目つきで軽く首を傾げた。
「えじぷと?」
「あれ、知らない?」
「聞き及びませんね……ここのどこかにありましたっけ?そんな場所」
「ああー、違う違うそうじゃなくてね。そもそも日ノ本じゃないんだ。エジプトってのはさ、砂だらけの国なの」
「砂だらけ?水も無いんですか?」
「一応水はあるけど。なんて言うかな、砂漠が多いんだ」
閻魔は首の後ろをがりがりと困ったように掻いたが、それでもどんな感じかと言うのを手振りで鬼男に説明する。
それに興味をそそられたらしい彼は、書類の整理などすっかり忘れてその動きを追っていたが、ふと我に返ったように、
「で、その面白い神話って言うのは、何が面白いんですか?」
「ああ、それなんだけどね。エジプトには地獄ってのが無いんだって」
「地獄がない?」
「そうそう」
怪訝そうに問い返す鬼男へ、閻魔は笑みを浮かべ頷く。
その事を想像でもしているのか鬼男は書類を抱えたまま目を閉じていたが、地獄に長くいる鬼の身では想像がつかないらしく、数分と経たないうちに駄目だと軽く頭を振った。
「じゃあ罪人なんかはどうするんですか。溢れっぱなし?」
「それがそうでもないんだよ。上手いことにね。あっちの罪人ってのはさ、転生させてもらえなくなるんだ。それどころか存在そのものを抹消されちゃう」
「どういうことですか」
鬼男は表情こそ普段と変わらない、どこか不機嫌にも見える様子で閻魔に問いかけたが、瞳の中に宿る溢れんばかりの興味やら関心はどうにも隠せないようだった。
ちょっと説明臭くなっちゃうけどね。閻魔はそんな様子の鬼男に小さく笑いかけ、続ける。
「エジプトの死者は、オレみたいな裁判官のところに行くんだ。それで、その裁判官が持ってる天秤で善悪を見るんだよ。天秤の片方には羽が乗ってて、もう片方は何も無いんだけど、その何もないところには裁判官の補佐がその死者の心臓を乗せるんだ。で、羽より心臓が軽ければ天国へいけて重ければ」
「ちょ、ちょっと待ってください。羽より心臓が軽いなんてありえるんですか?」
鬼男はそれを聞き、思わず問いかける。
話の腰を折られた閻魔はそれでも不快であるという様子など微塵も見せないまま、そうだよ、といかにもそれが当たり前であるかのように続けた。
「あっちの概念では、心臓イコール魂なんだって。罪が軽い分心臓も軽くなる。そんな感じ。
……話を戻そうか。羽より軽い心臓、と言うか死者の魂は天国に行けるって言ったけど、正確に言えば天国行き決定って言うか、天国のような安寧が約束された世界に転生できる、って事らしいんだ。で、羽より重い心臓なんだけどさ、それは天秤の傍にいる怪物が食べちゃうんだって。つまり転生すらも許されないって事。この世から消滅しちゃうんだよ」
閻魔の話を聞き、鬼男は感心したような溜息をひとつ落としたが。
「……で、その話の何が面白いんですか?」
「え?面白いじゃない。転生できないんだよ。許されないんだよ。罪人の運命をあの怪物と裁判官が握ってるんだ。面白いじゃん」
「……」
「オレにもそんな力あればよかったのになぁ。魂を食らってね、オレだけの中にとどめておくの。転生なんかさせちゃったらオレのこと忘れたりしちゃうでしょ?もしかしたら現世で幸せになっちゃうかも知れない。そんなの許せないじゃん?オレばっかり恋しくてたまらないのはさ。でもオレには裁く義務はあっても転生を妨げる権利はないから」
閻魔は机から身を乗り出さんばかりに鬼男の方へ体を伸ばし、じっと彼を見た。
黒なのではないかと思うくらいに蒼い蒼い瞳の中、閻魔の姿が逆さまに映っている。
それを意識してかしないでか、どこか請うように、閻魔は鬼男へ言った。
「鬼男くん、君の心臓食べさせてよ」
「……」
「そうしたらオレの中に君は残るでしょ?転生なんかさせないよ。だってオレ君のこと離すつもりなんかないもん」
にこっ、と赤い瞳を細めて笑う。
そんな閻魔をしばらく何ともなしに見ていた鬼男はしかし、呆れたような苦笑いを浮かべて小さく溜息をついた。
そうして、邪魔だとばかりに持っていた書類を閻魔の顔が隠れない位置へと置き、
「僕の権利は無視かよこの大王イカ」
そんな風に言った。
閻魔はそれでも笑みを消さないまま、茶化すように問いかける。
「え?嫌?」
「……今更それを聞くんですか?」
苦笑いをゆっくりと優しげな、鬼に不似合いではないかと言うくらいの柔らかさを湛えたようなものに変えて、鬼男もまた机へ縋るように体を乗り出し閻魔と目線を合わせる。


「大王の中に溶け込めるなら、本望に決まってるでしょう」


「だって僕も離れたくありませんから。転生なんかして記憶消えるくらいなら、大王に殺してもらうほうがいいに決まってる」
「鬼男くん、それ本当だよね。嘘じゃないよね」
「嘘でこんな物騒な事言える訳ないですってば」
「……」
「大王?」
眠気を含んだような声で鬼男が問いかける。
それに閻魔は、あーうーなどと上手く言葉にならないような声をあげたかと思うと、机にだらんと伸ばしたままの腕で、口元の抑え切れない笑みを隠すかのように覆った。
「……やばい、鬼男くん。今オレすっごく嬉しい。何かもうフォーエバーしちゃいそう」
「また天井突き破るんですか?修理費かかるんで止めてくださいよ」
「いや言葉のあやだからね?それくらい嬉しいって事ですからね?痛いからやんないよ」
天井を見上げて言う鬼男に、そりゃそうだとばかりに閻魔は焦る。
それにくすくすと笑みを零しながら、でしょうねあれはすごかったですもん、と鬼男はいつぞやの光景を思い出すかのように言った。
その瞳の中に、昏い感情をどろりと落としたままで。
「ところで大王」
「んー?なーに?」
「大王こそ、さっきのこと本当なんですか」
「君の心臓を食べるっていう?」
「ええ。それ、嘘じゃないですよね?」
「勿論。何なら誓いでも立てようか?」
「……いいえ、誓いは要りません。けど、」
“誓い”に小指を持ち出してくる閻魔の手を握りこんで、鬼男はうっとりと続けた。
「僕もすごく幸せです……出来るなら今すぐにでも大王に食ってもらいたいくらい」
「やだな鬼男くん、そんなに急かさなくても絶対に食べるからさ。……とか言うけど、本当はオレもすぐに君の胸から心臓だけ抉り出して食べちゃいたいよ。君を誰にも会わせたくないの。オレだけの中に閉じ込めとくんだ。素敵じゃない?」
「そんな……どうしよう。僕、本当に嬉しいんですけど……」
閻魔の手を包み込んだ己の手に若干力を込めて、鬼男は言う。
すっかり蕩けきった、まるで夢でも見ているのではないかと言うくらいに甘く瞳を細めて、うわごとのように。
ただ、その瞳の奥深くは、先程のどろりとした昏さから全く変わってなどいなかったが。
閻魔はそんな鬼男の様子を見て、ふふ、と小さく笑った。
「鬼男くん、目がとろーんってなってる」
「ええ。本当に嬉しいですから。……そういう大王も同じじゃないですか」
「うん。オレもすごく嬉しいんだ。これって相思相愛って言うんでしょ?いいよね、こういうの」
「ええ」
閻魔もまた昏い光を宿したまま、眠るようにゆっくりと瞳を閉じる。
そうして熱っぽい吐息と一緒に、鬼男へ問いかけた。
「ところで君、いつ“死”んじゃうんだろうね?」
「わかんないけど、僕も早く“死”にたいです。だから僕が“死”んだら僕の心臓、残さず食べてくださいね?」





「この体も心臓も何もかも、全部大王に捧げますから」
















たしが死んだらこの心臓を
(食べてもらってひとつになるなんて、なんていう幸福!)
















****
天国はどっちも病んじゃうとすごい事になると思われる(・∀・)
病んでる天国も大好物です。ほのぼのしてたりシリアスしてる天国も大好きですが。
て言うか天国ならばなんでも美味しくいただける自信がある!!←

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 プロフィール 
HN:
文月 零架(フミツキ レイカ)
性別:
女性
職業:
心意気は小学生
趣味:
読書とか創作とか
自己紹介:
日和の天国組とTOVのユーリさんが好きなあらゆる意味で変態な物体X
本名はフォルデモンド・アエーネス・REIKA・97779・ネフェルタリー
これを略すると「零架」になります
(※大嘘)

文を書いたり本を読んだりが大好き。
ちょっとしたことですぐ凹む、豆腐より脆いハートです←
あ、豆腐は言いすぎた。

あと妖怪関連とかも大好き。
神話や伝説と言う単語だけでも反応する上、鬼とか名前が出ると飛びつきます←
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私のツボをつくイラストとハイクオリティなネタが魅力です。
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